Gen5のSSDがGen4/Gen3の製品より速いとはならない場合がある
現時点で最速SSDと言えば、Gen5対応でシーケンシャルリード(連続読込)が14,500MB/sの「Crucial T705」ではないでしょうか。このGen5対応の物を買えば、Windowsの起動やアプリケーションの起動など、ファイルの保存やコピーなど、あらゆる動作が爆速になるのだろうと想像していました。しかし、いろいろ調べていくうちに、それは的外れだということがわかりました。
シーケンシャルリード(連続読込)やシーケンシャルライト(連続書込)に関して言えば、大きなファイルの読み込みと書き込みが速いのは確かなようですが、製品によっては熱が発生して、性能が落ちることが起こるそうです。温度が80℃を超えると、サーマルスロットリングというのを発生させ、温度がそれ以上上らないように速度を下げたり上げたりを繰り返し、最高速度が出るのは一瞬だけだったりするみたいです。そう考えるとGen4のSSDのスピードでも6,000~7,000MB/sくらい出ますし、遅いと感じません。熱もGen5の製品に比べたら低いので、高い金額を出して無理に買わなくてもいいのかな?と思います。
この点では以下の動画が参考になりました。Crucial T500(Gen4)とCrucial T705(Gen5)の比較で、ベンチマークのスコアやOSの起動などについて触れています。
肝心なのはランダムアクセスのスピード
Windowsやアプリケーションの起動、ウェブブラウジングなど、こちらのスピードはランダムリードやランダムライトの数値が重要です。私の場合はどちらかというと、こっちのほうが気になります。
ベンチマークソフトで有名なCrystal Disk Markだと、一番下の「4KiB Q1T1」という欄が重要だそうです。このことについては以下のページでも紹介されています。
- https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00393/073000003/?P=3
- https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1140107.html
- https://cgworld.jp/interview/201803-Optane.html
ランダムリードの表記が1000kIOPSとか150万IOPSとかも要注意
最近のSSDはシーケンシャルリード/ライトの数値の他に、ランダムリード/ライトについても触れられていることがありますが、これは先ほどのCrystal Disk Markでいう、一番下の「4KiB Q1T1」ではなく、下から2段目の「4KiB Q32T1」の数値で、MB/sの単位ではなく、IOPSで表現されていることが多いです。数字が大きく見えるからなのかな?MB/sで表示すると、シーケンシャルリード/ライトよりも数字が1桁少なくなりますからね。それとも、知らないだけでIOPSで表示する意味がちゃんとあるのかもしれませんが。
このランダムリード「4KiB Q1T1」の値については、いろいろなSSDのベンチマークを見ていますが、同じメーカーのGen5とGen4の製品で、ほぼ変わらなかったりします。そういった意味でもGen4のSSDで十分かもです。
ランダムリード/ライトが〇〇〇〇kIOPSとか〇〇〇万IOPSとか、前世代よりも大幅に向上したという表示も惑わされないようにしたほうがいいです。数値が上がっているの事実でしょうが、あくまでも「4KiB Q32T1」の話で、ここが向上したからといって「4KiB Q1T1」も連動して大幅に上がるという話しではないので、要注意です。
「4KiB Q1T1」のランダムリードが最速のSSDってどれ?
ずばり、Intelの「Optane SSD」です。金額的にねらい目はもう数年前の2021年に製造が終了した製品ですが、Optane SSD 905P(PCIe3.0x4 U.2)です。960GBで約6万円前後とエントリーモデルのグラボ並みです。もっと速いエンタープライズ向けのOptane SSD P5810X(PCIe4.0×4 U.2 2021年発売)がありますが、オリオスペックさんで税込389,950円と、ハイエンドモデルのグラボ並みです。
インターフェースがU.2なのでNVNEに変換するケーブルを使用して、M.2ソケットに挿します。905PはM.2タイプやPCIeカードタイプも存在していたみたいですが、販売されているところ見つけることができませんでした。タイミングによってはメルカリやヤフオクで出品されているかもしれません。
Optane SSD 905Pが発売されたのは2018年(製造終了2021年)で、2024年の現時点から6年前の話です。その当時は魅力を感じず、価格も15万円くらいと高額なこともあり、検討の余地さえありませんでした。以下はその当時の記事。
ランダムリードでは「Optane 905P」が最速
このOptane SSD 905Pのベンチマーク動画や記事を検索してみると、段々すごさがわかってきます。熱く語っている動画も出てきます。エンタープライズ向け上位モデル「Optane P5800X/P5810X」を除き、6年経過してもいまだにコンシューマー向けのSSDの中では、「4KiB Q1T1」のランダムリードはGen5の最新SSDを含めても最速です。しかも2倍以上のぶっちぎり。905PはPCIe3.0x4仕様なので、シーケンシャルリード/ライトは2,000MB/s台で大したことはないのですが、「4KiB Q1T1」のランダムリードについては約200MB/s台とライバルがいません。
たかが200MB/sぽっち?と思いましたが、一般的なNVME SSDはGen5、Gen4、Gen3も共通して「4KiB Q1T1」のランダムリードは60~80MB/sくらいしか出ていません。それに比べると2倍以上です。上位のOptane SSD P5810Xは300MB/s以上出るようです。ここの速度がOSやアプリケーションの起動や動作にかなり影響するようです。
ここまでOptane SSDが速いのは、一般的なSSDはNANDフラッシュメモリであるのことと比べて、905PやP5810Xは3D XPOINTと呼ばれるIntelとMicronが共同で開発したチップが使われているからのようで、耐久性も高く、熱で速度低下することもないそうです。
905PやP5800X/P5810Xすごさは以下のページが参考になります。
特にPremiere Proのプレビューのレスポンス、ゲームの読み込み、PC MARCでのスコアは905PやP5810Xが上位です。第2世代3D XPOINTが搭載されたP5810Xは予算的に無理ですが、905Pなら手が届きそうです。
Optane SSD 905Pのベンチマークとレビューの参考ページ
ちなみにWindows11が10秒くらいで起動するみたいです
PhotoshopなどAdobe系の起動の速さ
以下のページでは、Windows10の起動をはじめ、PhotohsopやIllustrator、Premiere Pro、InDesign、AfterEffectsなどのAdobe系ソフトやExcel、Power PointといったOfficeソフトなどのベンチマークが参考になります。一世代前のPCIe3.0のNAND SSDとの比較なので、参考になるかは不明ですが、905Pがぶっちぎり1位となっています。
3D CGソフトなどでのベンチマーク
Maya、DaVinci Resolve、Premiere Proなどの参考。
参考レビュー
海外のベンチマークスコアをまとめたデータベース
過去から最新のSSDのベンチマークスコアがまとめられたサイトがありました。
ランダムリードのベンチマークスコア
4kb QD1のRandom IOPSに関しては、やはりGen5のSSDを含めてもP5800X/P5810Xと905Pがぶっちぎりでした。
Gen5にこだわらくてもOK?
Optane SSD 905Pは旧世代のPCIe3.0x4ですが、シーケンシャルリード/ライトも秒速2GB/s以上出るので、HDDに比べたら充分速いです。旧世代でもOSやアプリケーションが最新の世代よりも速くなるなら、PCIe5.0やPCIe4.0のSSDにこだわらなくていいかなと思います。Optane SSD 905Pをシステムドライブに使い、Gen4のSSDをデータドライブとして使うのが快適かもしれません。ちょっと高いけど欲しいです。