AOMEI PE Builderから日本語化したWindowsPE環境を作る方法

目次

標準の英語キーボード環境では入力がツライ

起動できなくなったWindowsの修復作業に便利なWindowsPE。更にGUIや便利なアプリ付きのWindowsPEが作れるフリーソフトの『AOMEI PE Builder』ですが、デフォルトのままだと英語キーボード環境なので、コマンドプロンプトでよく使う:とか\が思うように打てません。日本語キーボードでどこを押せば打てるのかわからずイライラしてしまいます。そこで、『AOMEI PE Builder』から日本語対応したWindowsPEを作成する方法が見つかったのでメモ。

日本語版Windows PEの作り方を流用したらできる?

日本語版Windows PEや日本語版Bart PEを作る方法を流用して日本語版AOMEI PEを作る方法が以下のサイトに書かれています。これを元にAOMEI PE Builderで日本語フォントを使用した日本語表記で日本語キーボードで快適に入力できるAOMEI PEを作ることができます。

日本語版AOMEI PEの作り方

今回、「Windows 10 Pro x64 バージョン 1909」の環境でAOMEI PEの作成をしていますが、できあがるWindows PEのバージョンは「Windows 10 x64 1607」のものとなります。

1. 準備するもの

以下の2つをダウンロードしてインストールします。

もう一つ、「Windows PEビルド環境(Windows PE Build Environment)が必要ですが、AOMEI PE BuilderでPE作成する際に自動でダウンロードされるので省いています。

ADKはWindows 10 バージョン1607用をダウンロード

Windows ADK(アセスメント&デプロイメントキット)は必ず、Windows 10 バーション1607 用を上記のページからダウンロードしてください。

AOMEI PE BuilderでPE作成する際に自動ダウンロードされる Windows PEビルド環境(Windows PE Build Environment)がバージョン1607版 なので、現時点で最新のバージョン1903用のADKを使うとパッケージの追加に失敗するそうです。よって、最終的に完成する日本語版AOMEI PEはWindows 10 バージョン 1607(ビルド14393)がベースのものとなります。

インストールが終わったらADKのバージョンが10.0.14393になっているか確認してください。このバージョンが異なっていると後の作業でエラーが出ます。

AOMEI PE Builderで自動でダウンロードされるWindows PEビルド環境について

自動ダウンロードされる『Windows PE ビルド環境(Windows PE Build Environment)』の保存先はAOMEI PE Builder のインストールフォルダ内(C:\Program Files (x86)\AOMEI PE Builder 2.0)にあるDownloadPath.iniを開くと記載されています。

私の環境の場合は以下が保存先になっていました。

  • Q:\PB Download\x64

ここにある『Windows PEビルド環境(Windows PE Build Environment)』バージョン1607(10.0.14393)の物ですが、以下のコマンドでboot.wimファイルの詳細を表示して確認することができます。

dism /Get-WimInfo /WimFile:"Q:\PB Download\x64\ISO\Sources\boot.wim" /index:1

結果にバージョン : 10.0.14393で、エディションはProfessionalの表示がありました。143931607なのかどうかわかりにくいのですが、ネットで検索するとWindows 10 v1607であることを確認できます。

手動でダウンロードした「Windows PE Build Environment」を使う場合

自動でダウンロードされた「Windows PEビルド環境(Windows PE Build Environment)」を使わず、あらかじめ手動でダウンロードしたものを使いたい場合は以下のAOMEIのページから入るGoogleドライブから『WinPE Env x86.zip』及び『WinPE Env x64.zip』ダウンロードできます。これに含まれているboot.wimバーション1607(10.0.14393)エディションはProfessionalでした。

これを使う場合はAOMEI PE Builder のインストールフォルダ内(C:\Program Files (x86)\AOMEI PE Builder 2.0)にあるDownloadPath.iniを開いてパスを変更しておく必要があります。

[ISO_X86]
WorkPath=J:\WinPE Env x86\WinPE Env\x86
[ISO_X64]
WorkPath=J:\WinPE Env x64\WinPE Env\x64

2. Windows ADKでPEの展開する

ADK for Windows 10 バージョン 1607をインストールしたら、[スタート]-[Windows Kits]-[展開およびイメージングツール環境]を右クリックメニューから「管理者として実行」します。

『展開およびイメージングツール』というタイトルのコマンドプロンプトが開くので、任意の展開先を含めた以下のコマンドを実行します。コマンドが正常に実行されたらファイルが指定のフォルダに展開されます。

copype amd64 c:\WinPE_amd64

今回はx64のPEを作成しようとしていますので、x86用を展開する場合はamd64部分をx86に置きかえて実行してください。

copype x86 c:\WinPE_x86

3. boot.wimを置き換える

AOMEI PE Builder製のboot.wimに日本語言語パッケージを追加する為に、boot.wimを入れ替えます。インストールしたADKに含まれているboot.wimはエディションがWindowsPEの物なので、AOMEI PE Builderの自動ダウンロードまたは手動ダウンロードしたエディションがProfessionalのboot.wimで上書きします。私の環境でわかりやすくすると以下のパスとなります。

::AOMEIのboot.wim(Professional)
Q:\PB Download\x64\ISO\Sources\boot.wim

    ↓上書き

::ダウンロードして展開したboot.wim(WindowsPE)
C:\WinPE_amd64\media\sources\boot.wim

4. 日本語化に必要なパッケージをboot.wimに追加

日本語版AOMEI PEを作成するために、日本語化に必要なパッケージを以下のDismコマンドでイメージファイル(boot.wim)に追加します。以下のコマンドは管理者として起動したコマンドプロンプトで実行してください。バッチファイル化して実行するときも管理者として実行してください。

rem --- wimのマウント ---
dism /Mount-Image /ImageFile:"C:\WinPE_amd64\media\sources\boot.wim" /index:1 /MountDir:"C:\WinPE_amd64\mount"

rem --- パスなど変数の設定 ---
set myx64=C:\Program Files (x86)\Windows Kits\10\Assessment and Deployment Kit\Windows Preinstallation Environment\amd64\WinPE_OCs

rem --- 日本語言語パックと日本語フォントの導入 ---
dism /Add-Package /Image:"C:\WinPE_amd64\mount" /PackagePath:"%myx64%\ja-jp\lp.cab"
dism /Add-Package /Image:"C:\WinPE_amd64\mount" /PackagePath:"%myx64%\WinPE-FontSupport-JA-JP.cab"

rem --- PowerShellパッケージの追加(パッケージ間に依存関係があるため以下の順に実行) ---
dism /Add-Package /Image:"C:\WinPE_amd64\mount" /PackagePath:"%myx64%\WinPE-WMI.cab"
dism /Add-Package /Image:"C:\WinPE_amd64\mount" /PackagePath:"%myx64%\ja-jp\WinPE-WMI_ja-jp.cab"

dism /Add-Package /Image:"C:\WinPE_amd64\mount" /PackagePath:"%myx64%\WinPE-Scripting.cab"
dism /Add-Package /Image:"C:\WinPE_amd64\mount" /PackagePath:"%myx64%\ja-jp\WinPE-Scripting_ja-jp.cab"

dism /Add-Package /Image:"C:\WinPE_amd64\mount" /PackagePath:"%myx64%\WinPE-StorageWMI.cab"
dism /Add-Package /Image:"C:\WinPE_amd64\mount" /PackagePath:"%myx64%\ja-jp\WinPE-StorageWMI_ja-jp.cab"

dism /Add-Package /Image:"C:\WinPE_amd64\mount" /PackagePath:"%myx64%\WinPE-EnhancedStorage.cab"
dism /Add-Package /Image:"C:\WinPE_amd64\mount" /PackagePath:"%myx64%\ja-jp\WinPE-EnhancedStorage_ja-jp.cab"

dism /Add-Package /Image:"C:\WinPE_amd64\mount" /PackagePath:"%myx64%\WinPE-HTA.cab"
dism /Add-Package /Image:"C:\WinPE_amd64\mount" /PackagePath:"%myx64%\ja-jp\WinPE-HTA_ja-jp.cab"

dism /Add-Package /Image:"C:\WinPE_amd64\mount" /PackagePath:"%myx64%\ja-jp\WinPE-Rejuv_ja-jp.cab"

dism /Add-Package /Image:"C:\WinPE_amd64\mount" /PackagePath:"%myx64%\WinPE-SecureStartup.cab"
dism /Add-Package /Image:"C:\WinPE_amd64\mount" /PackagePath:"%myx64%\ja-jp\WinPE-SecureStartup_ja-jp.cab"

dism /Add-Package /Image:"C:\WinPE_amd64\mount" /PackagePath:"%myx64%\WinPE-WDS-Tools.cab"
dism /Add-Package /Image:"C:\WinPE_amd64\mount" /PackagePath:"%myx64%\ja-jp\WinPE-WDS-Tools_ja-jp.cab"

dism /Add-Package /Image:"C:\WinPE_amd64\mount" /PackagePath:"%myx64%\ja-jp\WinPE-SRT_ja-jp.cab"

dism  /Image:"C:\WinPE_amd64\mount" /Enable-Feature /FeatureName:SMB1Protocol

rem --- ロケールとUIを日本語にする ---
dism /Image:"C:\WinPE_amd64\mount" /Set-Allintl:ja-jp
dism /Image:"C:\WinPE_amd64\mount" /Set-UserLocale:ja-JP /Set-InputLocale:0411:00000411

rem キーボードを日本語配列にする
dism /Image:"C:\WinPE_amd64\mount" /Set-LayeredDriver:6

rem タイムゾーンを東京にする
dism /Image:"C:\WinPE_amd64\mount" /set-TimeZone:"Tokyo Standard Time"

エラー: 0x800f081eが出たら

以下のエラーが出る場合、インストールしたADKのバージョンが間違っている可能性があります。

エラー: 0x800f081e
The specified package is not applicable to this image.
(指定されたパッケージはこのイメージには適用されません。)

この場合、一度ADKをアンインストールして再度1607用のADKをインストールしてください。

日本語化されているか確認

ちゃんとイメージが日本語化されているか確認するには以下のコマンドで確認できます。

dism /image:"c:\WinPE_amd64\mount" /get-intl 

en-USだった部分がja-JPに変わっています。

5. システム回復オプション、スタートアップ修復のショートカット追加

調子の悪いWindowsを修復する上で、回復環境(WindowsRE)や回復ドライブのWindows PEで「システム回復オプション(RecEnv.exe)「スタートアップ修復(StartRep.exe)を使うことが多いですが、AOMEI PEでも呼び出せば使えます。しかし、コマンドで呼び出さないといけません。それをスタートメニューから呼び出せるようショートカットを埋め込みます。

ダミーのXドライブをフォルダを作成

AOMEI PEはXドライブで起動するので、その状態と同じ階層のショートカットを作成する準備として以下のフォルダを作成します。

  • X:\sources\recovery

ダミーのファイルを作成

何でもいいので適当にテキストファイルなどを上記のフォルダに保存し、以下のファイル名にリネームしてダミーファイルを作成します。

  • RecEnv.exe
  • StartRep.exe

ショートカットを作成

上記のダミーファイルのショートカットを作成します。

  • X:\sources\recovery\RecEnv.exe → システム回復オプション
  • X:\sources\recovery\StartRep.exe → スタートアップ修復

スタートメニューにショートカットをコピー

上記のショートカットをAOMEI PEのスタートメニューに表示されるように、以下のスタートメニューフォルダにコピーします。

  • C:\WinPE_amd64\mount\Users\Default\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\System Tools

6. イメージを保存してマウントを解除

追加したパッケージを適用してイメージを保存する場合

追加したパッケージを適用することを確定させ、そのイメージを保存してからマウントを解除する場合はこのコマンドを実行します。これを実行しないと適用されたことになりません。

dism /Unmount-Image /Mountdir:"C:\WinPE_amd64\mount" /commit

追加したパッケージを適用せずマウント解除する場合

パッケージの適用がエラーで失敗したり、パッケージの追加をやり直したい場合など、イメージを保存せずマウントを解除したいときは以下のコマンドとなります。

dism /Unmount-Image /Mountdir:"C:\WinPE_amd64\mount" /discard

マウント解除に失敗したとき

マウント解除に失敗したり、マウント解除せずに処理を終了してしまった場合は該当フォルダの操作ができなくなります。その場合は以下のコマンドを実行します。

dism /cleanup-wim

7. 完成したイメージをAOMEIのboot.wimに上書き

3.で行ったboot.wimの上書きの逆を行います。日本語パッケージが適用されたboot.wimをAOMEI PE BuilderはDownloadPath.ini記載されたパスを使用してWindows PEを作成するからです。

::日本語化されたboot.wim
C:\WinPE_amd64\media\sources\boot.wim

    ↓上書き

::AOMEIのboot.wim
Q:\PB Download\x64\ISO\Sources\boot.wim

8. Aomei Backupper の日本語化

AOMEI PEに含まれているバックアップソフト「 Aomei Backupper 」を日本語化するためには以下のファイルを開き、編集して上書き保存します。メモ帳で編集する場合、管理者として実行したメモ帳で開かないと上書き保存できないので注意してください。

  • C:\Program Files (x86)\AOMEI PE Builder 2.0\AomeiBackuper\x86\cfg.ini

このファイルをメモ帳で開き、以下の内容に変更して上書き保存します。

[Language]
LANGUAGE=lang\ja.txt

9. Partition Assistant の日本語化

AOMEI PEに含まれているパーテーション編集ソフト「 Partition Assistant 」を日本語化するためには以下のファイルを開き、編集して上書き保存します。こちらもメモ帳で編集する場合、管理者として実行したメモ帳で開かないと上書き保存できないので注意してください。

  • C:\Program Files (x86)\Aomei PE Builder 2.0\PartitionAssistant\x86

このファイルをメモ帳で開き、以下の内容に変更して上書き保存します。

[Language]
LANGUAGE=lang\jp.txt;17
[CONFIG]
COUNT=1

日本語化できた!

上記の1~9の作業を行い、AOMEI PE Bulderから作成した起動ディスクでPCを起動してみたところ日本語化できていました。「Aomei Backupper」はなぜか英語のままでしたが、「Partition Assistant」はちゃんと日本語化されていました。キーボード入力も:\を普通に打つことができました。

エクスプローラーも日本語化されていました。

「システム回復オプション」「スタートアップ修復」のショートカットもちゃんとスタートメニュー表示されいました。

Windows PEの日本語化に関する参考ページ

AOMEI PE Builder について

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