Edge Portableが欲しいけど見当たらない
USBメモリに入れて持ち歩いたり、WindowsPE環境で使えるブラウザとしてGoogle Chromeはポータブル版はPortableApp.comで公開されていますが、Chromiumベースの新しいEdgeはポータブル版はどこを探しても公開しているサイトが見当たりません。Edgeが入っていないPCで環境を汚さずに使えるポータブル版。できればWindows環境ではChromeよりもEdgeを使いたいケースがあるので、なんとかならないかなと思っていたら、ポータブル版を自作するというヒントを見つけました。
ヒントとなったページ
Google Chromeのポータブル版を作るという内容のブログ。Chrome Portableが無い頃の内容かと思われます。同じChromiumベースのChromeでできるなら、Edgeでもできるのでは?と思った次第です。
ポータブル版Edgeの作り方
やることは3つ
EdgeがインストールされたWindowsPCからフォルダを取り出し、少し手を加えるという方法で、ざっくりと以下の作業が必要となります。
- インストール済みのEdge本体があるフォルダをコピー
- ユーザーデータ格納用フォルダを作成
- 起動用ショートカットを作成
1.インストール済みのEdge本体があるフォルダをコピー
Microsoft Edgeがインストールされたパソコンから以下のパスに保存されているEdgeのアプリケーション本体(msedge.exe)があります。
C:\Program Files (x86)\Microsoft\Edge\Application\msedge.exe C:\Program Files\Microsoft\Edge\Application\msedge.exe
このmsedge.exe
が入っている「Edge」というフォルダを丸ごとUSBメモリなどに保存します。
2.ユーザーデータ格納用フォルダを作成
USBメモリに保存したmsedge.exe
をダブルクリックすればEdgeを起動することができますがPC内にユーザー用のフォルダやファイル(閲覧履歴やキャッシュなど)が作成されてしまいます。それを避けるためにUSBメモリ内にユーザーデータを格納するフォルダを作成します。ここでは例として「Application」フォルダと同じ階層にフォルダを作成します。
作成するフォルダ
- User Data
このフォルダ名は違う名前でもいいです。EdgeがインストールされたPCにはC:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Microsoft\Edge\User Data
にユーザー用のフォルダがあり、例としてこれと同じ名前にしただけです。このフォルダにはお気に入り情報なども含まれています。
お気に入りについて
IEとは違い、Chromium版のEdgeは以下のBookmarks
というファイルに情報として格納されているため、IEのようにフォルダを開いたり、このファイルを開いて編集することはできません。
Edgeのお気に入りが保存されている場所
C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Microsoft\Edge\User Data\Default\Bookmarks
もし、PCにインストールされたEdgeに登録されているお気に入りをUSBメモリに入れて持ち歩きたいときは、このBookmarks
またはUser Data
をUSBメモリにコピーすればPCと同じ環境のEdgeを持ち歩くことができるかと思います。
3.起動用ショートカットを作成
USBメモリに保存したmsedge.exe
のショートカットを作成し、プロパティの画面でパスを以下のように変更します。(例:USBメモリのドライブレターがX:だった場合)
X:\Edge\Application\msedge.exe --user-data-dir="../User Data"
--user-data-dir="../User Data"
というパラメータを追加して、ユーザーデータフォルダを指定します。これを指定しないと、Edgeを起動したとき初めてのEdge起動としてみられPCのローカルドライブ内にUser Data
フォルダが作成されてしまいます。これを回避するたにこのオプションスイッチを加えます。
以上でポータブル版Edgeの完成です。
インストールせずにPortable版を作成できないかな?
上記はEdgeをインストールしたPCから取り出すやり方ですが、例えば、「64bitOSにインストールされた64bit版のEdgeはあるけど、32bit版のEdgeが欲しい」といった場合があるかもしれません。そんなとき、インストールせずにEdgeアプリケーションのみをインストーラーから取り出すことができれば~と思うわけですが、試しにオフラインインストーラーをダウンロードし、MSIファイルをコマンドで解凍してみました。MSIファイルを展開れきるMSIEXECコマンドで解凍を試みましたが解凍できませんでした。また7ZIPでも解凍を試しましたが、想像していたファイル(msedge.exe)が現れず、アプリケーションのみを取り出すことはできませんでした。
試した手順
オフラインインストーラーをダウンロード
Microsoft Edge Enterprise版のインストーラーをダウンロードするページ
MSIファイルを解凍するコマンド
msiexec /a %USERPROFILE%\Downloads\MicrosoftEdgeEnterpriseX86.msi targetdir=%USERPROFILE%\Downloads\Edge /qn
USBメモリからEdgeを起動してみた
作成したショートカットからUSBメモリ内のEdgeを起動することはできました。しかし...。
使い物にならないレベルでめちゃくちゃ遅い...。
USBメモリから起動するとめちゃくちゃ起動に時間がかかりました。初回起動の場合、User Dataフォルダにファイルが展開されるので、完全に起動するまでに10分くらいかかりました。2回目の起動も5分くらいはかかりました。またページを開くのも、USBメモリにHTMLがダウンロードされてからの表示なので、ブラウジングもIEより遅い感じです...。
ローカルにコピーして使えばまだマシになった
USBメモリ内のEdgeフォルダをCドライブやデスクトップなどにコピーして起動させたら待てるレベルで起動しました。起動したあともUSBメモリかた起動させるよりは速かったです。ですが、PC上で起動したポータブル化したEdgeよりも、USBメモリ内から起動させたChrome Portableの方が圧倒的に速かったです...。
公式なポータブル版が出るまでは使う必要なし
- Edgeをインストールできない環境でEdgeを使用したい
- WindowsPEでEdgeを使用したい
- Windows環境ではMicrosoft製のブラウザしか使いたくない
こういった理由からEdge Portableが欲しくて自作にチャレンジした訳ですが、容量はChrome Portableが約380KBに対してEdgeは2.8MBくらいあるし、起動もネットサーフィンもめちゃくちゃ遅いので、ポータブル版をわざわざ手間をかけて作るメリットが全然ありません。マイクロソフトから公式なポータブル版が出るまで待つしかなさそうです。